Rir6アーカイブ

2005-03-05


[人権擁護法案]人権擁護法案について、あるいは「戦略的」ということ

人権擁護法案 与党案通り再提出東京新聞

正直に言いましょう。僕はこの問題についてかなーり悩んでいます。筋から言えば―あるいは僕の取る原理原則から言えば―、人権擁護局が法務省の中におかれるような今の法案では人権擁護の効果は期待できませんし、また、凍結されたメディア規制の条項もいつ凍結解除になるのか分からないような怪しいところもあるので、僕は当然反対なのです。

しかし……今現在の日本の世論状況を、その様な政治思想的バイアス抜き(敢えてそう言う。つまりこの文は「今から僕は「バイアスが無い」というバイアスで物事を見ます」という宣言なんですね)で見ると、「本当に反対で良いのか?」と思えてくる。というのも、この法案に賛成しているのは自民党で、そいつらは僕も嫌いというか反対というかなので、その点は勢力的にOK(彼らが失敗する事により勢力を削がれるのがOKということ)なのだがのだが、反対している方が問題なのだ。といっても別に日弁連アムネスティが反対しているのが問題なわけでは勿論無い。では一体誰が?

こいつらである……

====

はっきり言おう。僕はこいつらさえ居なければ諸手を挙げて現在の法案に反対する!確かに部落解放同盟の人も軟化姿勢は示しているが、しかし基本は修正要求という名の反対だ。一部には解放同盟が政府案の提出を後押ししたというような報道もあるが、しかしそれだって「何らかの人権を擁護する法律を作りたい、その議論を盛り上げたい」という方向からあえて行ったものなのだ。僕もメディア規制と擁護局の独立性の二つの点が修正されるなら法案を通しても良いと思ってるし、それを修正させるための「反対」なのだ。別にこのような法案が要らないと言っている訳ではない。

しかし……あいつらはそうではない。「人権」という言葉そのものが嫌いなのだ。彼らが望む事、それはネット上での局地的なマジョリティの力を悪用して少数の人達を誹謗中傷しても誰からも罰せられない世の中を作ること。そしてこの法案はそれの邪魔になるから排除する。ただそれだけなのだ。よって彼らは「修正」ではなく「全面廃案」を叫ぶ。言論の自由の名の下に嘘を垂れ流しまったく何の科学的根拠のない誹謗中傷ページを作り、2ちゃんねるで「チョンは海に投げ落とせ」とか書くために!

前にも書いたが、「言論の自由」はかなり重要なものであるが、しかし至上命題では無い。そして、そのような誹謗中傷はどのような至上命題をもってしても擁護され得ないのだ。

しかし、もし僕が反対した場合、僕とこいつらは例えその行為がどんなに違う動機付けから行われたとしても、同じ「反対言論」としてくくられてしまうのだ。そして、もしこの法案が今国会で通らなかった場合、彼らは「俺たちの勝利だ!」とさらに増長するだろう。そして、人権を擁護するための法案は二度と政治の舞台には出てこなくなる。いや、それだけではない。彼らの勢力というのは結局こいつらのページにあるリンク先にも現れているように、北朝鮮強硬派に繋がっている。彼らの言説の中身とは何か?昔僕がやっていたBLOGのコメント欄にこんな文が書いてあった。

17 名無しさん 04/05/17 12:03:23 ID:CkWRDGQ+Pp

参照:国家と個人の区別が出来ない大馬鹿者↓

朝鮮人が何人死のうが知ったこっちゃねえな。

大体独裁国家に対して金正日≠北朝鮮と言い切れる

神経が信じられん。ま、工作活動せいぜいがんばりな。

19 名無しさん 04/05/17 14:47:34 ID:iDyW7h4X9r

全部書くとアレなんで極力絞ります

>北朝鮮の国民を見殺しにしても良いと考えるような国民なんて、米国でも韓国の一部親日派・拉致被害者家族の中でも、そして日本でも、極一部

農業に疎い金おっさんがありえないほど間抜けな農政を展開、又軍事に金を回し続けてる結果があの様です。あの国に金だろうが米だろうが送ったらそれは闇へ消えた挙げ句

金政権の延命に一役買うだけなんですがね、闇市場に流れてる支援米の数々は映像でも配信されていましたよね

ということで見殺しというと言葉が悪い訳ですが、自業自得な連中にわざわざ支援する必要を認めません

あんな自爆でドツボってるような国より援助しがいのある国は余所にいくらでもあるでしょう

まぁ個人的には、国家という枠組みがあるんだからその枠外で飢えようが正直な所どうでも良い

日本国内でそういう問題が発生しないように努力をすればそれで良いって事です

つまり、北朝鮮強硬派というのはこの様なメンタルで動いている訳なのです。そして僕はこのような意見には絶対に同意できない。例え金政権が延命したとしても、国内で飢餓を起こさせて何百万人も死ぬよりはずっと良いんです

話が逸れた様に見えて、実は逸れていません。つまり、戦略的に見れば、「言論擁護法案」に反対するということは、陰からこのような絶対に同意できない思想の人達を擁護することに繋がるのです。

確かに本来ならアメリカのラッパーの言うとおりに

「俺は共和党だから戦争に反省だ」とか「わたしはキリスト教徒だから結婚に反対だ」とか、保守だから、とか、リベラルだから、とか。

てめえの党派や立場を先に決めてから結論を出すなよ!

てめえ自身の考えで、それぞれの問題に意見を言えよ!

それぞれの問題ごとに意見が違うもんだろう、普通は。

たとえばオイラは犯罪に関しては保守的だけど、売春については超リベラルだぜ!

とするべきなのでしょう。しかし!じゃあこいつらもそうしてくれるのか?こいつらの何処に「本質的な意見の差異」がある?みんな言っている事は同じだ。そして、同じであるが故に彼らは強い力を保持する事が出来た。前にも書きましたが、彼ら2ちゃんねらーはオフ会を開く時も、その伝えるメッセージについて意見の対立が無い(*1)。が、それ故に彼らは一致団結して「方法論」のみを語る事が出来るのだ。何故そう言えるか?かつては僕もそれを使っていたから……まぁ、昔話はいい(*2)、とにかく、この問題に適用されるのは残念ながらMAD=気狂い理論なのだ。先に卑怯な技(*3)を止めた方がやられる。そんな「ゲーム」の世界に今僕は生きているのだ(*4)。

じゃあ僕はこの法案に賛成すべきなのか?しかし筋から言えば―あるいは僕の取る原理原則から言えば―、人権擁護局が法務省の中におかれるような今の法案では人権擁護の効果は期待できませんし、また、凍結されたメディア規制の条項もいつ凍結解除になるのか分からないような怪しい、となるとやはり反対しなければならないのでは?

……と、こんな感じで僕はこの問題に関して堂々巡りに陥ってしまうのです。一体どうしたら良いんでしょうねぇ?出来れば左寄りの人に答えてもらいたいのですが……(←と、また党派に頼る。だから君自分で考えてないだろとか言われるんだけどね。まぁ本当のことだから仕方がない……)


*1: より詳細に言えば、議論スレと本スレを別にすることによってごく少数居る反対派もオフ会に影響できないよう工作するんだけど

*2: 本当は良くなくて、この時期の僕についてはそれなりに総括が必要な気がする……

*3: つまり此処で言う「党派性で物事を考える」ということ

*4: この件についての論評は「BLOGは面白くないのが当然だ、僕も含めて(id:rir6:20041217:1113765057)」も参照してみるといいかも。ただ、この論評は一般論なので、当然この文と適合しないところもある