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2008-05-11

[宣伝]'ゆと部報Vol.2'の発売直前レビュー!

というわけで、前回のエントリーでも紹介しましたが、5/11、つまり今日、秋葉原で行われる文学フリマのB-41'古い夢'で、'ゆと部報Vol.2'(定価:400円)が発売されます!そこでこの記事では、'ゆと部報Vol.2'に書いてもらった文章についてレビューしていき、'ゆと部報Vol.2'ってどんな文章が載っているか紹介していきたいと思います。この記事で興味を持ったら、是非文学フリマB-41へ来て、その目で'ゆと部報Vol.2'をご覧下さい!

なお、文学フリマが秋葉原のどこでやっているかは、こちらの公式ホームページを参照して下さい。

表紙・id:yama_r

やまある氏デザインによるフルカラー表紙はまさに同人誌とは思えないハイクオリティ!これだけでもう部屋の飾りとして400円の価値があるんじゃないかなぁ。

特別企画・ゆとり世代部の超短編

今回のゆと部報はまず最初にショートショートがまとまってあります。そして、なんとその1つとしてハズレなし!これはもう買うしかない!(と、個人的には思います)。

短編・id:littlelielittle

りとりと氏は'冷蔵庫'、'kopy machine'、'battlefield classroom'の3つの短編を執筆してくれました。どれも素晴らしいのですが、この中で僕が最も好きなのは'kopy machine'です。たった三段落のまさに超短編ですが、まるで星新一のショートショートを読んでいるかのような意表の突き方でして、ああ、こんな短い文章でもこんな感覚が味わえるんだと驚くこと必至です。

短編・id:debedebe

ファック文芸部の若きホープとしても有名なでべ氏ですが、今回満を持してゆと部報に登場!'安眠'、'安眠2'、'一般化'、'逆太郎'、'定義の違い'、'箱猫'、'ウォーリー系アイドル'の7つの短編を執筆してくれましたが、どれもまさに既存の文芸にファックを突きつけ、新しい文芸の登場を告げる内容です。これらの作品を読まずして現代文芸を語るなかれ!

特におすすめなのが'一般化'と'逆太郎'。物語というのは結局の所数十の同じ構造に還元できる。そしてそれは日本近代文学でも同じだと暴露したのは、他ならぬ文学フリマのきっかけを作った大塚英志氏でしたが、それをこのでべでべは独力で発見してしまった!そしてその視座から語り直される昔話とは・・・詳しくは本誌で!

短編・id:marubon

まるぼん氏は'タミフルな夢'を執筆してくれました。日常の裂け目から忍び込むファンタジー、果たして僕は元の世界に戻ることが出来るのか!?これは次回が待ち遠しいね!

短編・id:seo19114

せお氏は'Strada subito dopo la pioggia'と'さよならと云いし日に'の二つを執筆してくれました。まさに直球ど真ん中の恋愛小説です。ちょっとの狂気をスパイスに語られる恋の物語。全ての恋を忘れた人間よ、これが人を恋するということなんだよ!(僕もよく分かんないけど)

想像似顔絵・id:ilikebetty

ゆとり世代部員の顔をべてぃ氏が想像で描いてみた!ゆと部報を買った後、売り子の顔と似顔絵を比べてみると、似ていたり似ていなかったり。それも又ゆと部報を買った人だけが楽しめる特権なのです!

岡本かの子鮨論 少女と老人の孤独を中心に ・id:bummy

ばみ氏のある小説についての文芸批評。定石を踏まえながらも、それまでの批評とは違う独自の読み(例えば、鮨に登場する魚が、それまで女性性を示すものだと捉えられていたのに対し、性差別だけではない、社会に生きる弱者の示しを見いだす)を提示する、文芸批評ってこういう風にやるものなんだなと、まさにお手本になるような文章。文学とかを批評したい、けど方法が分からない・・・そんな人はまずこの文章を真似てみれば良いんじゃないでしょうか。

からくりからくさに見る家・id:seo19114

これもある物語についての文芸批評です。この批評の中でせお氏は、その物語に登場する'家'に焦点を合わせて文章を読んでいきます。そして物語の中で'家'に世の中から家族を守る'結界'という役割が与えられていることを発見します。

家というものは、とかく近代日本においては、人が個人として生きるということを阻害する封建性の象徴=悪者として捉えられてきました。しかし最初から個人として存在する人間などいないし、そもそも生活全てで常に個人でいられるほどのタフネスさを人間に求められるのか?そんな中で、もういちど家というものを、これまでの家制度第一主義からも個人第一主義からも離れたところで、再評価する必要があるのかもと感じました。(って、そこまで読みとるのはさすがに無理がある気もするけど、それほど面白い論考でもあるってことです!)

女装部部長より、少々長めのご挨拶・id:debedebe

でべ氏は素晴らしい小説家であると同時に、女装部部長という、もう一つの顔を持っています。この文章は、そんな女装部部長が、女装とは何かや、女装の変化と現状について説明した文章なんですが・・・

いやー、まいった!はっきり言ってそこら辺の学者の論考なんかよりよっぽど的確に女装の今を捉えているんだもの。特に女装というものの持つ意味が20代半ばでぜんぜん違うというのを、'自分の目'・'他者の目'という二つの概念から説明する節は、まさに目から鱗でした。ほんと、詳しくは本誌を読んでもらいたいんですが、このような現状分析を無視して、古いタイプの女装文化しか見ずに女装文化について語る人間には、早期に退場してもらいたいと思いました。断言します。この文章は、女装文化研究のターニングポイントになると!

真っ赤なリンゴにお願い・id:azmin

最後はあずみん氏の小説。キンモクセイの'真っ赤な林檎にお願い'を元ネタにしながら、私小説風に子供時代の(未)終焉を描いた作品。

僕なんかはその元ネタの'真っ赤な林檎にお願い'の更に元ネタであるサディスティック・ミカ・バンドの'タイムマシンにお願い'なんかが頭をよぎるんだけど、まぁそれはともかく、まさにゆとり世代と呼ばれる今20代前半の青年たちの葛藤がよく現れた作品です。でもまぁ、今も昔もそんなに青年の葛藤に変わりはないわけで、かつて青年だった人も、これを読んで、昔の気持ちを取り戻してみたらいかがでしょうか?

蛇足

sjs7のは本当につまらないので、あんだけブログで大層なこと書きながらお前自身の小説はこれかよwと嘲笑しながら読んで下さい。

id;alphal?誰それ