Rir6アーカイブ

2005-05-21


[情報社会論]もしかして誰も問題を解決したくないのか?

(この記事はid:rir6:20050520:hatenaの続きです)

前回の記事への返答やらコメントやらに対する返信と、isa氏のあらたなはてな批判記事への反論、そしてこれから当事者達が問題解決のために何をすべきかの提言。

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id:plummet氏に対し

まず最初にid:plummet氏は別に日記の削除に対し賛同の意を示してはてなを批判していたのではなく、「はてなが十分な説明をしていない」というその点においてはてなを批判していたそうです。ここら辺は僕の誤読であるので、お詫びしておきます。

しかしそれにしても、やはり僕は過剰な説明責任をid:plummet氏ははてなに求めていると思うのです。id:plummet氏は

……はてな側が、その辺を読み取って対応すりゃ済むだけの話じゃねーか。はてなは「伝達者」とかそういう以前に「受け取ること」も「説明すること」も下手くそなんじゃね?

というけれど、はっきり言ってその辺を読みとるのはとても大変な事で(僕自身未だに読みとれてはいない)、それこそはてなのメールの回答にも書いてあるように

弊社業務として、諌山様のブログを定期的に拝読させて頂く

なんてことでもしなきゃ分からないんですよね。でもどう考えたって一件一件のトラブルに対しそんな細かな処理をしていたらサポート体制は崩壊してしまう訳で、やはり現在の状況でははてなはあの様に対処するのが一番だと思うのです。逆に、もしそのような「全てのトラブルに対してその背後関係も含めて対処すべし」というサポート体制をはてながとったならば、それは必ず「トラブルは絶対に避けるべきだ」という意味に変わるだろうし、もし日記サービスを行う会社がそのようなことを行ったら、それは即ちトラブルを起こす日記の排除=言論の自由の侵害へと繋がるでしょう。

id:claw氏に対し

次に、前の記事に対しid:claw氏がコメントを寄せていました(*1)が、僕にはそのコメントは問題そらしにしか感じられません。まぁ、そんな事言ったってid:claw氏も今回の問題がどんなものなのか僕と同じで良く分かっていないみたいだから仕方がないかも知れませんが、しかしそれだったら「分からない」とだけ書いて、isa氏に「私のBLOGにどんな問題があったのでしょうか?」と聞くべきなのであって、分かっていない問題(*2)に乗じて別の問題(*3)を出すという行為は、その分かっていない問題に関する情報を更に錯綜させるという意味において有害であるとも言えます。そして、その分かっていない問題の全貌が分かるようになった時初めて、「でもisa氏はこんなことをやっていたのだ」という風にその別の問題を提示すれば良いのではないでしようか?

・・・isa氏の個人情報なんざ、こっちゃ何も知りませんな。知りたくもねーw

ていうか、できればリアル世界でかかわりたくないタイプっ・・・!!(@∀@)

こちとら彼の発言の真偽が知りたいだけです。あとのことは、まあ、どうでもいいですな。

と言いますが、id:claw氏にはどうでもよくても、isa氏には重要な問題なんでしょう。別にだからといってid:claw氏が日記の削除をすべきだとかは絶対に思いませんが、少なくとも当事者の一人として真剣にその問題を知ろうとするぐらいはサイト運営者としてするべきではないでしょうか?

「編集権」について

ついでisa氏が新たな記事を書いていたのでそれに対してもコメント

http://plaza.rakuten.co.jp/isanotiratira/diary/200505200000/

isa氏は新聞の事例を出して「新聞社は紙面に不適当な記事があったらそれを差し替える義務があり、その義務を怠った場合非難される。ブロガーもこれと同じで、コメント欄に不適当なコメントをされたら指摘されなくても削除する義務があるのだ」と主張しますが、しかし仮に本当にid:claw氏のBLOGに不適当なコメントがあったとして(実際の所、僕はこのことすらも信用していません。何故ならそのコメントの実物を見ていないし、そしてその様なコメントがあったと証言しているのがisa氏一人だからです。何かしら信頼できる機関(*4)や、大勢の人々によって確認されたならまだしも、見ず知らずの一人のブロガーが「こんな酷い書き込みが今はもう消されて無いんだけど昔はあったんだよ!」と言っているのを信用するのは、よほどそのブロガーを信頼していない限り無理です)、では常にそのサイトの管理人がそれを監視してなきゃならないかと言えば、それは特にclaw氏の様に沢山コメントが付くBLOGにおいては物理的に無理でしょう。新聞においては事前に編集長なりがその記事が本当にふさらしいか確かめますし、そもそも記事を書く記者自身、入社試験という場において選別された人なのですから、不適当な記事が書かれる割合は明らかに少ないですから、審査する労力も少なくて済みます。しかしそれに対しBLOGのコメント欄の場合は、もちろん事前にどのような内容か確認するなんてことは出来ませんし、更に言えばどんな人だって無資格でコメントを書ける訳ですから、当然不適当なコメントを書かれる割合も多い訳で、審査する労力も大きいのです。それに新聞というメディアは一応信頼のおけるマスメディアでありますからその媒体に一端不適当な記事が載ればその被害は甚大なものになります。しかしBLOGの影響力はは当然そのようなマスメディアの影響力とは比べものにならないですし、さらにそのコメント欄ともなれば、その影響力はそれこそ無いに等しいでしょう。以上の事から考えて、新聞とBLOGのコメント欄を同次元で編集権と、それに付随する義務について考えるのは、僕は不適当だと思います。

つまり、不特定多数の人々が自由に発言をする事が出来、しかもそれが事前に審査する事が出来ないインターネット空間においては、当然編集権とそれに付随する義務も、その活用に対し新しい考えが必要になるのです。ではそれに対し裁判所はどのような決定を下しているのか?過去の判例の殆どは「明らかに法に違反しているコメントがあるということを知った場合(=管理人が知ったと言う事が認められた場合=被害者や第三者に知らされていた場合)にのみ、それを削除する義務が生ずる」と書かれています。しかしそれは裏を返せば「そのような明らかに法に反する書き込みがあると知らなかった場合(=管理人が知ったと言う事を認められなかった場合=被害者や第三者に知らされなかった場合)には、それに対処する義務は無い」ということでしょう。

以上の事から、僕は仮にそのような明白な法に触れる書き込みが(例え同一人物によって連続的に)なされたとしても、そのコメントを指し示して削除要求なりがされない場合、そのコメントを削除する義務はid:claw氏とはてな共に無いと考えます。そしてそれ故に、そのような義務を守らなかったからって、日記の削除をすべきだということになる根拠も、また存在しないのです。更に言えば、もしそのようなisa氏の主張するような編集権が万が一でも認められたとしても、それによって義務が生じるのはせいぜい「コメント機能の停止」ぐらいで、日記の削除まで義務が生じる事は絶対にないでしょう。何故ならコメント機能を停止すればコメントは書かれなくなるし、日記の削除というのは余りにその書き込まれた日記の作者の過失に対し負担が大きすぎます。

もちろんこれは何の法律も知らない人の解釈ですから、間違っている可能性が多々あります。そして、どちらの法解釈が正しいのかを確かめたいのなら方法は簡単です。裁判を起こせばいいのです

ついでに言っとくと

今回は「はてな」には少し高尚すぎたかな。

はっきり言います。この文はサイテーです。もし再びこの様な煽り文を書くのならば、誰もあなたの言う事に耳なんか貸さなくなるでしょう。

これから当事者達が為すべき事

何故僕がここまで裁判なり警察への告訴に拘るかといえば、それはこの件が非常に複雑になっているからなんですね。通常、このようなインターネット上に誹謗中傷が書き込まれた場合、対処方法としては次の4つがあります。

  1. 警察へ行く
  2. 裁判所へ告訴
  3. コメントの管理者へそのコメントの削除を申し立てる
  4. インターネット上でそのコメントの酷さを主張する

確かにその書き込みが明白に法に触れる書き込みであり、さらにそれが単発的なものであるのなら3番目が適当だと思います。しかし今回の事例は、単発的なものでは無く、同一人物によって行われている継続的なものなのでしょう?でしたらそのコメントをしている本人を罰しない限り解決しないのであって、コメントの削除や日記の削除では絶対に解決しません。そして今現在人を罰する事が出来るのは裁判所であり、そして裁判所に行く方法は自分で告訴するか、警察に相談するかのどちらかなのです。

また、BLOGにこのことを書いているという事は、isa氏は並行して4も実施しているのでしょう。しかしそれだったら具体的に何処でどんな書き込みがどんな形式でなされたのかを公開すべきです。それが嫌だったら、4の方法はとってはいけません。何故ならその4の方法は、ともすれば私刑になってしまう危険性もあるものだからです。今現在私たちは、何処でそのようなコメントがなされているかも分からないし、それ故にどんなコメントなのかも確認できませんから、それが本当に明白に法に触れているかも確認できないのです。もしそのような極めて曖昧な状況で人々を自分の望む方向に動かそうとするならば、それはイメージ戦略による扇動以外のなにものでもありません。もしあなたがそのような戦略をとろうとするならば、僕は断固としてその様な動きに反対します。

逆に、もしあなたが実際に法に触れる様なコメントがなされたことを証明できたならば、僕はそのようなコメントをした人を非難するでしょう。しかしそれは裏を返せば、それしか出来ないということです。僕は前記の理由から、例えこのコメントが本当に明白に法に触れるコメントだったとしても、はてなやid:claw氏に何ら求めるべき事は無いと考えているからです。それでも良いというのなら別にかまいませんが、そうではない限り、やはり警察か裁判所に行くべきでしょう。

それからid:claw氏へ。一応あなたも当事者の一人なのですから、例え法的には何の責任もなくても、道義的にこの問題がどんな問題なのか自分の知っている事を示すべきでしょう。逆に言えば、この問題に乗じて別の問題を出すなんて事は言語道断なのです。今あなたが為すべき事、それは本当にisa氏が言うようなことに関連しそうなコメントが無かったかどうか調べる事と、もしあったならそれを提示する事、無かったなら「無い」と言って、isa氏に具体的にどのようなことがあったのかを聞く事であり、問題をかき乱す事では絶対にありません


*1: 自身のBLOGにもこの件に関して書いています→id:claw:20050521

*2: =個人情報書き込み問題

*3: 故・松井やより氏問題

*4: 司法であったりマスコミであったり