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2004-11-20


[政治思想]余りにも非現実的な、しかし現実

今僕たちは選択を迫られている。限りなき世界の拡大化に供するか、もしくは世界との闘争を支持するか。何故なら、もう考えている時間は無いのだから・・・

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戦争の親玉 ・・・ぼくらの戦う敵とは?blog::TIAO

(略)

「戦争の親玉」たちは貪欲だ。二十一世紀を自分たちの時代にデザインしようと「新世界秩序(New World Order)」の建設に取り掛かっている。先ずは手始めに石油が眠るアラブを手に入れること。そのためには謀略も嘘も平気の平左。圧倒的な「力」でねじ伏せ、恐怖を植えつけてしまえば、そのあとは適当にチョコレートやキャンディで手懐けることができるのはすでに実証済みだからね。

おい、ここまで虚仮にされ、今度は人殺しの片棒まで担がされようとしているのに黙っていてよいのかい?

それじゃ俺たちゃ、家畜以下の奴隷じゃないのかい?

俺たちもイラクの勇敢なレジスタンス戦士(ムジャヘディン)のように抵抗し、戦わなくちゃいけない。「戦争の親玉」とその手下どもをあぶり出し、それに吠え面かかせてやるにはどうすりゃいいのか、知恵を絞ろうじゃないか。別に銃や爆弾を持ってテロをやらなくても反撃はできるだろう。奴らの手に金が渡らないようにすればいいんだ。

どうやって?

誰もがすぐにできることは先ず銀行預金をやめること。どうせ預けておいても雀の涙の利息もつかない。おまけにキャッシングの手数料で預金は目減りするだけなんだから、一番確実な俺らの財産を守る方法は、たんす預金だ。現金だけで暮らせばいいのさ。ちょっと前までは誰もがそうして暮らしていたんだから、とくに不便になって生活が困るってわけでもないだろう。

毎日できる事は他にもたくさんある。

コカコーラやアメリカ産の商品は買わないというのもよい方法だ。喉が渇けばお茶を飲もう。スーパーで牛肉を買う時は産地の表示のチェックは忘れずに、国産の牛を買おうじゃないか。ハリウッド映画を観るのもやめた方がいいな。知らないうちに洗脳されるから。自動車保険もチェックしておこう。ちょっと安いからといって外資の保険会社に騙されてはいけない。

こんな当たり前のことをみんなが自分で考えて始めるといいのだ。

気をつけないといけないのは、不満や反対の声を集めて徒党を組むことだな。何しろ日本の公安警察は優秀だし、お客さんを捜しているから、かれらに目をつけられては面倒なことになる。みんながてんでバラバラで勝手にやっていればいいのさ。

(後略)

正直言いましょう。僕は最初この文を見たときちょっと引きました。そりゃまぁ確かに僕だってアメリカは憎いけど、コカコーラやマクドナルドは大好きだし、ハリウッド映画も暇つぶしに見るにはちょうど良いし、僕の使っているパソコンだって一応極力非マイクロソフトにしようと思っているけど結局OSはWindowsなのだから(*1)、それを全てやめるのはちょっときつい。もうちょっと気楽に反戦運動は出来ないのかなぁ?と、最初見たときは思ったんですね。

でもじゃあ実際気楽な反戦運動って一体何なのか?と考えてみると、これはやはり見あたらない。中にはコピペを貼るだけで何か運動をしていると勘違いする人も居るけど(*2)、どう考えたってその様な事は内部の同じ運動をしている人にしか伝わらない、この前の記事の言葉で言えばタコツボ化を促進する運動内運動でしか無いのだ。もし本当に我らが敵にダメージを与える攻撃を(攻暴」でも良い">*3)を与えようとするのならそれだけで駄目で、必ず相手との直接的な(*4)接触が必要になってくる。デモやビラ配りもその一種だし、不買運動だってその一種だ。

さらに考えると、実はこの運動は単なる反米・反戦運動じゃない側面もあるんですね、いやもちろんその側面もあるのですが、それだけじゃない。反米を選ぶと言う事はしかしその一方で「反テクノロジー」でもある訳なんですよ。今世界のテクノロジーの殆どはアメリカの支配下に入っていると言ってまず間違いない。そりゃ他の国もOperaとかTronとかそういうテクノロジーを持っている事は持っているのだけれど、それはごく少数、そしてもしアメリカのテクノロジーを使わないという選択肢を取った場合、私たちの生活水準は極端に低下するだろう。

生活水準が低下するとは一体何を意味するか?ただ単に「不便になる」ということだけを意味すると思ったら大間違いです。そもそも私たちは一体何の為に働き、貯蓄を増やし、物・サービスを―時には必要以上に―買ったりするのか?それはやはり私たちの体内に「資本の原理」というものが組み込まれているから何ですね。常に前進し、生産しなければならない。それはつまりマクロ的に見れば「世界の拡大」(*5)である訳です。

ここでもうちょっと資本の原理について詳しく解説しましょう。そもそも私たちは何の為に働くのか?「金の為」というのは一面では正しい訳ですが、しかしそれだけではどうしたって説明出来ない。何故なら「金の為」というのはつまり「自分の為」な訳ですが、では何の為に「自分」を保護しようとするのか?「自分」はいつか死んではしまう、有限的な存在な訳です。有限的ということはつまり、全ての行為が無に帰してしまう「終わり」があるということなのですから、それに乗っかって何かしらの行為を行う事は不可能な訳です。つまり、働くという行為(*6)には「金の為」=「自己の為」以外の何か無限的な存在への奉仕という面がある。そしてその無限的な存在としてあるのが、資本(*7)な訳です。

そしてそれが無限的である為には常に拡大を選択しなくてはならない訳です。一体何故か?拡大しなければ縮小しますし、縮小の末に待っているのは滅亡、所謂「終わり」です。だが資本は絶対に無限的な存在で無ければならない。ならば取るべき手段はただ1つ。絶え間なき「拡大」な訳です。

そしてその様な資本の原理は一方で私たちに「常に高位を目指せ」という絶対的命令を与える。それに則って私たちは生活水準を常に高い方へ高い方へと伸ばしてきた訳です。しかしここで今選ぼうとしている方向はそれとは正反対の方向、生活水準の低下な訳ですね。そしてそれを選ぶ事は「資本の原理」への完全な背理に繋がる訳です。そしてそれは即ち、今までの自分への背理でもある。

もちろんそれは大変に辛い事です。しかしそれを選ばなければ待っているのは一体何か?絶え間なき世界の拡大と、それに伴う「反世界」(*8)の破壊・殺戮・絶滅です。しかも幾ら行ってもそれは留まる事を知りません、何故なら資本は常に拡大しなければならないからです。冷戦時の恐怖とはつまり「終わる」事に対する恐怖だった訳ですが、これからの恐怖は「終わらない」事に対する恐怖になるのです。

さぁ、あなたはどちらを選ぶのか?資本の原理を破棄し、世界との闘争を選択するか。もしくは、資本の原理の元で「終わらない」事に対する恐怖を感じながら生きるか。選択の時間は、もう無い・・・


*1: Linux何か複雑すぎて使えませんよ・・・←一度使おうとして挫折したんです

*2: だからリンク先と本文は関係無いってば!

*3: 「攻撃」という言葉が嫌なら「攻暴」でも良い

*4: 「インターネット」とは違うという意味

*5: =グローバリゼーション

*6: ま、かなーりオブラートに包んだ言い方だけどね

*7: なおここの資本はかなーり広義です

*8: 現在はイラクの反米勢力だけど、イラクの反米勢力が「消え」たらまた別の勢力が出てくるだけでしょう