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2007-05-23

[考える]行政権への愛憎劇

なんか、世間では著作権が非親告罪化されることについて色々騒いでいるそうで、まぁもう二週間ぐらい早く騒いでくれたらある場所でネタに出来たんだけどなーとか思ったりもします。

で、なんかどうやら「この法律の真の目的は警察権力が風刺などの言論を弾圧するためだ!」なんて吹き上がっている人を見るにつけ、ああ人権擁護法案騒動の時から状況は何一つ変わってないんだなぁと、しみじみ思ったりします。

(一応言っておくと、僕はそもそも今の著作権制度は厳しすぎ、面白い作品が出るのを阻害していると思っていますから、その厳しい制度を更に厳しくする法改正は、更に面白い作品を減らすことになりそうなので反対です。ですが、それを「表現の自由」とかそういう基本的人権の話にまで拡大するのは、どーなのよという立場)

で、そういう人はたいてい「警察は信用できない!表面で良い事言ってても、必ず何か裏がある!」と言うわけで、まぁそういう風に批判的な目を持つのは大いに結構なのですが、しかしじゃあ、もしその法律が反対運動むなしく通ったとしたら、いったいその人たちはどうするのか想像すると、大多数が「通ったらそれに従うのが善良な国民だ」とか考えてそうで、なんだかなーと思ったりします。

これは人権擁護法案騒動の時にも口を酸っぱくして言ったことですが、どんな法律だって、権力側が悪用しようと思えば悪用できるんですよ。そりゃ確かに法制定の段階で、出来るだけ悪用されないような法律を作るのは重要です。でもね、そこで「悪用の可能性が0であること」を法案の必須条件にしたら、どんな法律も制定出来なくなってしまう。君の権利が侵害されたときに守る法律も、より多くの人を幸福にする法律も、作れなくなっちゃうのよ。

だから、完璧な法律なんてものはない。でもだからといって、じゃあ不完全な法律だから悪用されても「しかたがない」のか?そんなことは無いわけで、むしろ法律は不完全だからこそ、その不完全性を権力が悪用した場合は、その悪用した個々のケースに対して、「それはおかしい!」と声を発するべきなのよ。

そして、そのためのツールとして憲法があるわけ。

例えば今回のケースについて言うなら、もしこの法律が何か権力側に近い思想の著作物をパロディにした著作物に対して適用されたら、断固として憲法21条の「表現の自由」を叫んで、そのような適用は違憲だと訴えればいい。もし、警察がたかが著作権法違反で逮捕して監禁しようとするなら、刑事訴訟法の逮捕の条件を元に戦えばいい。そういう悪用を防ぐツールは揃ってるんだからさ。